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和印 ニュース
WA-JIRUSHI  NEWS

「和裁って無駄がない」by 和印3号

2024.09.17 (火) 

多くの着尺(きじゃく=着物1枚分の反物)は巾38~40cm(鯨尺1尺)前後、長さ12~13m(3丈3尺)前後です。
裏地がつく袷(あわせ)の場合は4.2m(1丈1尺)前後の八掛(はっかけ。裾まわしとも言います。表地の色に対してどんな色を選ぶかはセンスの見せどころ。)と、8.4m(2丈2尺)前後の胴裏(どううら。白い薄い布)を裏地として使用します。

裁断は、丈と巾に真っ直ぐ裁ちます。
例外もありますが絹ものは基本的に地の目を通して裁ちます。仕立てたい丈よりも長めに裁ちます。

袷(10月~5月用)の場合、裁断した表地8枚と裏地17枚の長方形の布を、縦、横、斜めにほとんど真っ直ぐ縫います。丸く縫うのは袖の袂(たもと)の丸みくらいです。
余分な部分(縫い代)は洋裁のように切り落としたりせず、外に響かないようにきっちりと折り畳んで納めます。この縫い代の始末が着物の仕立て上がりの良し悪しを左右します。

長めに裁った布は、身頃なら着用時に帯で隠れるところ(腰)に縫い込んでおきます。その縫い込みを「内揚げ」と言います。
内揚げは「未来への可能性」です。
例えばよく着用したことにより裾が傷んだときに裾を切っても内揚げから出して修理すれば元の身丈を保てます。
また、元より大きい寸法に仕立て替えることができます。
例えば祖母→母→娘と譲る場合に役に立つかも知れません。
残布を別用途にしたいので内揚げ無しで仕立ててください等の要望が無い限り、「可能性」を縫い込んでおきます。

絹は経年で縮みが生じます。
表地の縮み具合と裏地の縮み具合が異なることが多く、表裏が綺麗に添わなくなると、洗い張りをして仕立て直しをおすすめします。程度によっては着付けで融通したり部分修理で済むこともありますが…。
縫っている糸も経年劣化しますので、仕立て直すと糸も新しくなり安心です。

着物をほどき、長方形のパーツを元の状態に並べ縫い合わせて反物状に戻します。反物状に戻すこと及びその縫い目のことを「端縫い(はぬい)」と言います。
昔は手縫いでしたが、現在は糸がしゅるしゅるとほどきやすい端縫いミシンで縫われます。

とき端縫い→洗い張り→しみ抜き等、悉皆(しっかい)屋さんでメンテナンスを終えたら、和裁士の出番です。
元のスジが残っている場合はなるべく隠すように融通したり、弱っているところには裏から布を当てて補綴(ほてつ)したりしながら仕立て上げます。
着物→着物はもちろん、着物→コート、着物→羽織(衿の天に接ぎ目が出ますが)に姿を変えることもできます。そんな際にも、無駄に切り刻むことのないようにできるだけ「未来への可能性」を考えます。

その他例えば、上前の膝あたりを酷く汚してしまい、しみ抜きしても直りきらないなんて場合、裏表使える生地なら表裏をかえて仕立て直せばその汚れは着用時に見えない下前にできます。
表裏を変えられない生地の場合は帯で隠れるところで切って上前と下前を入れ換えることができます。

和裁には、布を、一枚の着物を、大切にする精神が宿っています。

「紋のお話①」by 和印3号

2024.09.17 (火) 

≪家紋≫

皆さんは自分の家の家紋を御存じですか?
元々は自分の物を他人の物と区別するために付けたマークです。平安時代、貴族は牛車や調度品などに付けていたそうです。
また、戦国時代には、敵と味方がわかるように紋の入った旗や幟を掲げている様子を映画やドラマなどで見たことがあるのではないでしょうか。

紋といえば、家だけでなく都道府県や市町村、学校にも「紋章」「校章」がありますね。
どれもいろんな意味や思いが込められた素敵なデザインです。
令和の現代、家の中を見回しても自分の家の家紋を見ることは難しいかもしれません。
家紋入りの風呂敷や袱紗といった儀式用品があるかもしれませんし、無いかもしれません。家の中に無くとも、お墓の墓石には大概家紋を彫っていると思いますが、「墓じまい」という言葉をよく耳にします。今後、家紋の継承はどうなってゆくのでしょうか…。

そんな昨今ですが、先祖代々受け継がれてきた家紋にちょっと焦点を当ててみましょう。


≪家紋と着物≫

家紋は着物とも深い関わりがあります。
元々、武士の大紋という着物に紋を入れていました。裃(かみしも)にも入れていました。

時を経て明治になり、男性は“5つ紋付き黒の羽織と着物(それに袴を着用)”、女性は“5つ紋付き黒の着物”を第一礼装とするよう定められました。それが現在も続いています。
背中(背紋)、左右の後ろ袖(袖紋)、左右の胸(抱き紋)で5つです。
礼装、略礼装には3つ紋(背紋と袖紋)や1つ紋(背紋)を入れることもあります。
「染め抜き紋」の他に、刺繍で入れる略式の「繍い紋」もあります。礼装や略礼装以外に、紬の無地着物などに入れる「しゃれ紋」もあります。


≪女紋≫

女性の着物の紋に関しては、「絶対にこうだ」という決まりがあるわけではありません。
生まれた家の家紋を入れても良いですし、嫁ぎ先の家紋を入れても良いのですが(もっと言うと、好きな紋を入れても良い)、和印ストリートの拠点である関西地方には、母系紋を引き継ぐという風習があります。

祖母から母から娘からその娘…と苗字が変わろうがなんだろうが関係無し!
なんだか素敵。


≪おすすめ≫

スーツで臨むような席で、1つ紋付きの無地着物をキリッと着てみてはいかがでしょうか?


≪さいごに(私事ですが)≫

私・和印3号が紋の虜になったのは、4000以上の紋が掲載されている“紋典”で「扇の骨」という紋を見つけて、なにこれ?!と心踊ったのがきっかけです。

色々な面白い紋の紹介をまたの機会にしてみたいですね☆

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